2006年02月22日

疑惑メールの証拠能力?

世間を騒がせているメールの件。文面とかフォントとか、黒塗りされていた部分をめぐって陰謀説まで囁かれる始末だけど、とりあえずここではメールの真贋は横に置いておく。まぁ、僕の見解はと問われれば「どう見てもガセだろ、あれは」というところだけど。

この件の最も愉快なところは、あの内容をどういうわけか「証拠能力がある」と確信してしまった人がいるらしいことだ。あのー、メールって、ヘッダー部分も含めてただのテキスト情報だし、あの程度の内容でいいのなら誰だって作れるんですけど。

X-MailerとかDateとか、いかにももっともらしい情報は書かれていても、一番肝心なReceivedヘッダー群が抜けている。この時点で、このテキストに証拠能力なんて皆無。せいぜい良く言って「怪文書」というのが妥当なところだろう。

あるメールについて、その送信者を断定するのは言うほど簡単ではない。前述のように情報は全て単純なテキストで書かれているので、メッセージのデータだけなら誰でも簡単に作ることができてしまう。この「ただのテキストの塊」に過ぎないデータを特定の個人に結び付けるには、そのメールが通過したSMTPサーバーの中継ログに、該当する記録が残っていなければならない。Receivedヘッダーはそのために必要というわけ。

仮にReceivedヘッダーを偽造したとしても、該当のサーバーのログを照合すれば嘘はすぐにバレる。逆に言えば、Receivedヘッダーがない「メール情報」は、確証の取りようがなく、「これが動かぬ証拠」と断定するには無理がある。

まぁ、もし民主党の先生方がReceivedヘッダーも含めた全データを持っていて、それに基づいて既に裏も取っているのなら解らなくもないけど。だとすれば疑惑追及の順序は、まず「このメールは確かに堀江氏が送ったものだ」という点を証明するのが普通なのでは? それをしていない以上、公になっているもの以上の情報は持っていないと見るのが自然。そう考えると「真実性がある」とか大真面目な顔で主張しているのは、なんだか滑稽に見えてきてしまうのだけど。

と言うか、民主党の中に「こんなのは証拠として使えないよ」と指摘できる人材はいなかったのか?ということの方が深刻な問題なのかも。情報戦略要員として、まともな判断力を持った人を雇った方が良いのでは?

posted by cesare at 23:33 | 政治

2005年08月16日

人選

ライブドア社長堀江氏に自民党から出馬要請という話。
自民党としても必死になるのは理解できるのだけど、野球騒動とかフジテレビ騒動などでの過去の言動や振る舞いから判断するに、彼が政治的なセンスを示したことがある思えない。野球の件にしてもフジの件にしても、派手な言動で注目を集めるところまでは良かったのだけど、その後の振る舞いのまずさが利害関係者の拒絶反応を呼んでしまって、結局は望んだものを手に入れることは叶わなかったわけだ。

確かに、ライブドアをここまで大きくしてきた彼の経営手腕は侮れないと思う。時には買収相手やライバル企業を相手に政治的な駆け引きを繰り広げてきたという実績もあるだろう。但しそれらの実績は、こう言っては失礼だが、堀江氏個人の力量だけでもどうにか対処できる規模の相手だったのではないだろうか。マスコミなどのメディアを中心とした巨大な企業複合体を相手に喧嘩を挑んだ戦果は今のところ2戦2連敗であり、結果を出せていない。

この状況で堀江氏に衆院選に出馬要請すれば、「知名度だけを頼りにして、票を稼げそうな有名人を担ぎ出した」という印象になるであろうことは、自民党としても百も承知のはず。そこを敢えて出馬要請に踏み切ったのは何か目的があるのではないか。

独断と偏見に基づく邪推なのだけど、この理由は「野党に先を越されたくなかったから」に過ぎないのではないかという気がしている。堀江氏の擁立には批判も多いだろうけど、支持を寄せる人もまた少なくないと思う。試しに「衆院選」と「堀江」をキーワードにBlogを検索してみたところ、期待を寄せる意見も散見される。堀江氏の世間での印象は「旧態依然とした体制に楔を打ち込む革命児」という線だろう。国会を舞台とした改革劇で遅れをとってしまった野党としては、彼を味方につけることができれば世論の動向を自らに有利な方向に変えることができる可能性がある。自民党としては、それだけは避けたいところだろう。

批判を浴びるリスクはあるものの、タレント候補擁立なんて今更珍しいものでもなく、なんだかんだ言われつつも票を集めてしまうのが現実だ。トータルで見ればプラスになると踏んでいるのでは。自民党にとって致命傷を招きかねないのはタレント擁立に対する批判ではなくて、「タレント」が野党陣営で擁立されてしまった場合の風向きの変化なのだ。だからこそ、敢えて堀江氏に出馬を打診して、且つまだ結論が出ないうちからマスコミにリークするという戦略を採っているのではないかと邪推している。
posted by cesare at 23:36 | 政治

2005年08月14日

ルビコン渡河

「ここを越えれば、人間世界の悲惨。越えなければ、わが破滅」

おそらく、彼は直前まで迷っていたのではないか。決行した場合のシナリオは既に出来上がっていただろう。しかし解散に踏み切れば、そこに待っているのは自らの党を二分する内戦であることもまた明らかだ。党内の混乱に乗じて「漁父の利」を狙われるというリスクもつきまとう。郵政民営化以外にも問題は山積しているのに、それらを事実上棚上げしてしまうことへの批判もまた避けられないだろう。

「ルビコン川」を前にして、郵政民営化が否決された後も暫し逡巡していたであろうことは想像に難くはない。それでも敢えて川を渡ることを決意したのは、改革の潮流を止めないという目的のために、全てのリスクを引き受けようという覚悟を決めたからだろう。

とは言え、覚悟を決めるにはそれなりの根拠が必要になる。具体的に言えば、解散後に予想されるリスクを分析して、それぞれのリスクに対する対処の仕方を予め決めておくということだ。そのような周到な計画を立てた上で、リスクを上回る収穫が期待できると判断して初めて、一か八かの賭けに打って出ることができるようになる。このプロセスを経ない決断は、単なる「無謀」に過ぎない。

周到にリスク分析と対処を熟慮した上での決断か、単なる無謀なのかを客観的に判断する指標の一つは「決断した後に迷いがあるかどうか」という視点が挙げられると思う。
ルビコン渡河に逡巡したものの、決断した後は一切迷いがなかったカエサルは内戦を制して「ローマの平和」を確立し、帝政への道を開く。その間、わずか5年。前途のビジョンなくしては成し得ない業績である。一方で「カエサル暗殺」という決断を下したブルータス一派は、彼らにとっての「ルビコン川」を渡ったものの、その後のビジョンや戦略を持たなかったが故に、帝政への潮流を変えることは叶わないままに歴史の舞台から退場してしまう。
両者の違いは、自らの決断が必然的に招くであろう事態への予測と対応策や戦略の有無に尽きるのではないか。事前に充分な分析がされていれば、決断を下した後の行動には迷いが生じる余地はなくなるものだ。

この観点から考えてみると、解散を決断した後の小泉首相の言動には迷いがないと言えると思う。一貫しているのは、「郵政民営化に代表される公務員の削減、即ち行政機能の縮小に対する是非を問う」という一点に論点を集中させるということだ。

例えば、郵政民営化法案に反対票を投じた自民党議員には衆院選での公認を与えないと明言し、反対派の急先鋒と見なされている議員の選挙区に、公認の対立候補を擁立するということをこれ見よがしに行っている。これは多分にマスコミや世論の動きを意識したものだろう。つまり、このような内紛劇を敢えて世間に曝すことによって、注目は「郵政賛成派vs反対派」という解りやすい構図に集まる。世論の注目がここに集中している限りは、郵政法案で対案を出すこともなく存在感を示せなかった野党に「漁父の利」を持っていかれるリスクは抑えることができる。そんな計算が働いているのだろう。

「反対派への刺客」云々で世間に話題を提供しているのは、論点を郵政民営化への是非以外に逸らせないための手段であり、解散に踏み切る前に予め用意されていたシナリオの一つなのだ。小泉首相としては、世間の注目が党内の内紛劇に集まっている限りは野党の出る幕はなく、勝算があると踏んでいるのだろう。だからこそ、世間の耳目を集める話題を提供し続けているのだ。

「ルビコンを渡る」と決めた裏付けはここにある。全ては予め計算されていたことなのだ。野党が口を挟む余地があるとすれば、それは郵政以外の問題点に注目を集められた時に限られる。同じくその点を強烈に意識せざるを得ない野党は論点を郵政以外に移そうと躍起になっているが、現在の段階ではその試みは成功していない。そして小泉首相にとっては、野党が論点を郵政から逸らそうとするということも計算済みだろう。いや、事前にそれぐらい読めていなくては困る。

9.11の選挙は郵政を典型例として「行政を縮小するのか否か」の一点に争点を絞って是非を問うものだ。確かに、これ以外にも論点はあるし、蔑ろにできるものではないと思う。しかし、まずこの一点を突破しなければならないという思いがあるのだろう。だからこそ、「ルビコンを渡る」という賭けに出ることを決断できるのだ。そう考えると、一部で言われているような「郵政法案否決への腹いせ解散」という見方は的を外していると思う。

小泉首相にとっては、郵政法案否決は周到に策略を練った上に訪れたチャンスであり、今回の衆院選は自民党内の既得権益にしがみつく議員を粛清するという目的を果たす制度として機能すると期待できる。そのためには論点を逸らそうとする野党を牽制するための戦略が不可欠となるわけだ。これまでの言動を見る限りでは、小泉首相の動向はこの路線で一貫していて迷いがない。だとすれば、解散に踏み切ったのは確信犯的な決断であって、衝動的なものではない。全てが、反対派粛清というたった一つの目的を目指した策略なのだ。



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posted by cesare at 23:59 | 政治

2005年08月08日

郵政解散

郵政民営化法案が否決された。なんだかんだ言いつつも解散されると困る議員が多いだろうから、可決されるんじゃないかと予想していたのだけど、この読みは外れた。

否決を受けて小泉首相は予告通りに衆議院解散というカードを切って、9月に衆院選が行われることになった。小泉首相本人が会見で語ったところによると、これは「郵政解散」であり、民営化への賛否を国民に問う選挙と位置づけられている。が、個人的にはこれは今回の選挙の表向きの顔に過ぎないのではないかという気がしている。

と言うのは、郵政民営化自体は果たして実際のところ本当に「争点」となっていたのだろうかという疑問があるからだ。確かに現状の郵政は問題を抱えているし、民営化によってもたらされるメリット/デメリットを見極めつつ改革していく必要はあると思うのだけど、郵政問題が今すぐに手を打たなければ致命的な事態になるような大問題として認識されているかと言えば、そうではないと思う。郵政が抜き差しならない大問題だったのは、実際のところは一部の利害関係を持っている人間に限られていたのではないだろうか?

さらに言えば、あらゆる手段を駆使してなりふり構わず法案可決を目指していたかのように見られている小泉首相本人の意図は、実は別のところにあるのではないかという気もしている。つまり、郵政民営化が通るならそれで良し、通らなければ「解散総選挙ができる」というところを狙っていたのではないかと。

確かに、世間の注目を集めた法案が議会において否決された結果として、その是非を国民に問う選挙となったのだから、普通に考えれば法案を推進していた与党に信任を与えるのかどうかが最大のポイントになりそうに思える。つまり、与党に投票して争点となった法案に支持を表明するのか、野党へ投票して不支持を突きつけるのか。
しかし、今回の選挙では与党対野党という構図はおそらくないと思う。野党第一党の民主党が何をしていただろうか?目立っていたのは与党の利害関係者ばかりで、民主党の存在感はあまり感じられなかったというのが世間一般の印象ではないだろうか。

鍵を握るのは、郵政民営化という特定の争点を通して争われた本当の対立点は何かということになると思う。
郵政民営化の目的は、可能なものについては民間に移譲してしまうことによって行政機能のスリム化を図る「小さな政府」を目指すものであり、民営化に反対するということは、あくまでも行政機関に既存の機能を留めておく「大きな政府」を維持しようとすることだ。
郵政の争点とはつまり「小さな政府」と「大きな政府」のどちらを目指すべきなのかという選択を迫るものだったわけだ。

記者会見上で小泉首相は「民営化に反対した議員は公認しない」と明言している。郵政民営化を過剰に思えるほどに煽って演出していた狙いはここにあったのではないか。つまり、対立構造を明確にして且つそれぞれの議員の態度が明らかになったタイミングで選挙に持ち込む。その意味で郵政は各議員に態度を表明させるように迫る踏み絵に過ぎなかったのであり、郵政民営化自体が小泉首相の仕掛けた罠だったのだ。

先に触れたように今国会での民主党は影が薄く、「郵政解散選挙」によって躍進する可能性はあまりないと思う。むしろ与党の解体・再構築のプロセスとして機能するのではないか。
この選挙の唯一の争点は「小さな政府」か「大きな政府」のどちらを選択するのかということであり、この点が国民一人一人に問われているのだと思う。現職議員の態度が明確になっている今、投票という行動によってこの国の行くべき道を選択する絶好のチャンスが訪れている。その意味でこの選挙は参加する意義があり、注目に値すると思う。

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posted by cesare at 23:59 | 政治

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