2008年02月03日

oPtion$ - the secret life of steve jobs

一時期その正体をめぐって世間を騒がせた fake steve jobs(以下、面倒なので偽ジョブスと略:p)こと Daniel Lyons による「Steve Jobs自身が語るAppleのストックオプション問題の顛末」という体裁で綴られる一冊。このストックオプション問題というのはよく知らなかったのだけど、「なんか法律上マズかったらしい」ということだけ解っていれば問題なし。

話の内容は、偽ジョブスだけに、あくまでも架空のお話。架空ではあるけど、本物ジョブスの人柄とかエピソードとかジョブス語録を見聞きしたことがある人にとっては、いかにもありがちな台詞や語りが出てきたり。あと、本物ジョブスと仲が良いことで有名な人達が実名で登場して、行く先々で騒動を巻き起こしていく始末。大邸宅に日本庭園を持ってる Larry Ellison に相談を持ちかけて悪知恵を仕込まれたりとか、アイルランド訛りで3〜4語ごとにfワードを交えてまくしたてるU2 の Bono とか、相変わらずアムネスティと人権問題に関心を持ってる Sting とか。ちょっと油断すると実話と錯覚しそうになるので注意が必要だ。もっとも、そこが狙いなのだろうけどね:p

とは言え、しつこいようだが架空の話であって、「綿密な取材を元にした小説仕立てのルポルタージュ」とかいう類いの著作ではない。実在の人物と事件をモデルにして、もっともらしく且つ面白おかしくでっち上げた、パラレルワールド上の作り話として読むのが正解。それはこの話の結末からも明らか。もっとも、この結末が作り話であるかどうかは証明できないのだけど。ネタバレを書きたくないので、何の話か解らない人は実際に読んでみてくださいな。

Options: The Secret Life of Steve Jobs, a ParodyOptions: The Secret Life of Steve Jobs, a Parody
Daniel Lyons

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ところで、「ジョブス」がちゃんとカタカナに変換できんとはどーいうわけよ、ことえり。創造主の名前ぐらい覚えとけって(笑)

posted by cesare at 20:16 | 読書

2007年07月16日

「数学ガール」 結城浩

ブランチに立ち寄ったモスバーガーにて。席を確保して読書モードに。ふと隣を見ると高校生と思われる女の子二人組が黙々と勉強中。ノートに数式。数学の勉強中かな。見ると、一人はロングヘアーに眼鏡、もう一方はショートで小柄な感じ。「ミルカさんとテトラちゃん?」と思ってしまった僕が読んでたのは「数学ガール」だったわけですが。なんという偶然。

プログラマー稼業ゆえか、大学時代の専攻が法律だったという話をすると一様に「意外だね〜」と言われます。まぁ、自分で考えても、どこで道を間違えたんだか、という感じではありますが。数学との付き合いは、高校2年生を最後にしばらく音信不通あるいは忘却の彼方。その後、縁あって今の仕事に就いて働くも、基本のところを押さえておかないと長続きできないよなー、と思い、独学でコンピューターサイエンスに首を突っ込んだのが数学との再会だったというわけです。

そういうバックグラウンドの僕が読んでも、この本は読みやすい。なんと言うか、至れり尽くせり。正規の教育を受けてないと知らないような「暗黙の了解」みたいなところも律儀に解説しながら話が進むので、数式が出てきても意味がちゃんと理解できるところが有り難い。これならきっと高校生でも楽しめるんじゃないだろうか。受験の役に立つかどうかは知らないけど。でも、少なくとも数学の面白さは伝わると思う。高校時代にこの本に巡り会うことができていたら、ひょっとしたら法律じゃない学部に進学していたかも。

数学の面白さと言うと、やたら複雑で書き下ろすのも一苦労な数式にちょっと細工してやると、極めてシンプルな姿に一変することに気付いた瞬間の驚きと言うか、爽快感と言うか「センスオブワンダー」と言うか。オイラーの公式を最初に理解した瞬間の「背筋に来る」感覚は今でも忘れられない。この本にはオイラーの公式そのものは登場しないけれど、あの感動を伝えることには成功していると思う。その意味でも、現役の中高生に読んでもらいたい一冊。

興味を持った方は、結城さんのサイトとか、他の人の書評(代表)とかも併せてどうぞ。

数学ガール
結城 浩
4797341378

ところで、この舞台設定は作者のhyukiさんの趣味が遺憾なく投影されているように思えるのは気のせいでしょうか?(笑)。結城さんのサイトからリンクされている書評を眺めてみた感じ、理系男子にはアピール度がかなり高かったようですが。マーケティング的に言うと、うまくターゲットを絞り込んだというべきところなのでしょうが、狙った設定と言うよりは、hyukiさんの趣味がそのまま読者層の好みとかぶってるだけ状態にも思える今日この頃。そう考えると、表紙のイラストはちょうど良いバランスだな、と。と言うのは、理系男子以外でも手に取りやすいと思うのですよ。これが某「マンガでわかるほにゃらら」シリーズみたいな表紙だったら、僕も見て見ぬ振りで素通りしていたと思うので(笑)

posted by cesare at 20:48 | 読書

2007年04月03日

「多読のすすめ」というよりは「多読の仕方」

タイトルからまず想像したのは、速読を利用して脳を活性化させるようなイメージ。頭がついて来ようが来るまいが、とにかく速さ重視で前のめりな勢いで活字を追う読み方をすると、次第に脳の方が慣れてきて回転数が上がってくる感覚と言うか。

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本田 直之
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実際には、帯のキャッチフレーズにもある通り、「速読」ではなくて「多読」に関する話。大量の書籍を読む目的はたった一点、「100倍のリターンを生む自己投資」をすること。この目的に徹底的に最適化して、速く大量に読む方法や、読み取った情報の整理法などが紹介されている。守備範囲はあくまでもビジネスなどに必要な情報を得るための書物の読み方に限られる。ストーリーが重要になる小説などは対象外と考えて良さそうだ。

ただ、「100倍の利益を稼ぎ出す」と言いつつも「100倍」という数字の根拠は書かれていない。著者自身と周囲の成功している人達の実績から見積もって、という記述はあるのだけど根拠としてはちょっと足りないような。残念ながら、この本を読むことで本嫌いの人が急に多読家に変貌するという現象は稀なんじゃないかと思う。

思うに、この本のターゲットは「本を読んだ方が良いと思いつつ、なんだかんだで読んでない人」ではないのでは。既に読書の大切さも解っていて実際に本をよく読んでいる人に向けられているような気がする。読書はしているけど、もっと効率的に手早く読む方法はないものかと模索している人だ。そう考えると、読書に踏み切るための動機づけが甘いままなことと、後半パートで「そこまでやるか」と言いたくなるぐらいマニアックかつ徹底的な方法論が押し寄せる展開にも納得がいく。本嫌いの人がいきなりこのパートを読んだら引きますって(笑)

というわけで、読書効率を上げたい人にとっては参考になりそう。それ以外の人には、いわゆる「本の虫」な人の生態を垣間見れるという点で興味深いかも。

posted by cesare at 00:56 | 読書

2006年09月17日

投資銀行青春白書

先にお断りおきますが、書評じゃなくて感想文です。しかも半分は著者の保田さんへの私信ですので^^;あしからず。

とは言いつつも、一応のご紹介をば。著者は「ちょーちょーちょーいい感じ」でお馴染みの保田隆明氏。Amazonへのリンクは、ご本人によるリリース当日の顛末を記されたエントリーにありますので、こちらからどうぞ。僕は本を出版したことはないですけど、思わず書店巡りをしてしまう気持ちは良くわかる気がします(笑)

内容は、外資系の投資銀行部門に配属になった新人の目を通して、業界の雰囲気とか仕事内容、特にM&Aに関連するあたりをドラマ仕立てで紹介するというもの。特に難解な業界用語や符牒の類いも登場せず、業界事情を全く知らない僕みたいなド素人でも素直に読んで理解できます。タイトル通り「青春」な要素も入ったストーリー形式になっているので、気負わずに気楽に読めると思います。おそらくは、この業界に就職しようとしている学生の人達がメインのターゲットになってるのかな、という感じ。就職活動している人は、読んで損しないと思います。

とは言え、就職活動中の人達のみならず、「外資系」で「投資銀行」な職場ってどんな感じ?というあたりに関心がある人には、雰囲気がよく伝わってくる良書だと思います。下手に「解説書」みたいな形式にするより、ストーリー仕立ての方が正解だと思う。ここ最近のニュースとかでは、何かと「敵対的買収」のような派手なケースが取り上げられる機会が多かったような印象ですが、もっと平和的かつ建設的な買収の内幕を垣間見られて、興味深く読ませてもらいました。

外資系で金融の会社と言うと、どうしても「実力主義一辺倒でドライな職場」という先入観があったのですが、ちょっと違う一面もあるのだな、ということも教えてもらったような。もっとも、仕事上のパートナー関係が恋愛関係に発展したという実績があるのかどうかは、僕の知るところではございませんが(笑)

あんまり褒め過ぎだと気味が悪い? じゃあ一応は批評みたいなことも(笑)。内容はある企業をM&Aする買収側の視点から語ったストーリーだったわけですが、きっとM&A以外にもまた違った業務もあるのでしょう。ひょっとすると細かい雑務の話になってしまうのかもしれませんが。その辺りまでちょっと触れられていると、よりリアリティが増して参考になるかな〜、と。でも、本一冊分のボリュームだと、これぐらいが適量なのでしょうか。これを機会に別の業務内容のストーリーでシリーズ化とか、どうでしょう?(笑)

posted by cesare at 02:01 | 読書

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